御用牙

同心・板見半蔵が、相手の弱みを握り権力を出し抜いて正義を貫く。小池一夫と神田たけ志による異色の時代劇画です。

劇画『御用牙』第一巻の表紙

板見半蔵の活躍を描いた捕物時代劇。 悪を力でねじ伏せるのではなく、相手の弱みを握り、ときには権力を逆手にとって己の正義を貫くという、異色の時代劇です。

映画『御用牙』の一場面、刀を構える板見半蔵

代表作のひとつ『御用牙』

小池一夫は、日本を代表する劇画原作者の一人です。当初はさいとう・プロダクションに参加し、『ゴルゴ13』などの作品制作に関わりました。その後独立し、1970年代から次々と作品を発表しました。その代表的な作品のひとつが『御用牙』です。

小池一夫は漫画原作者のほかに、小説家、脚本家、作詞家としても活動し、大学で教壇にも立ちました。しかし、何といっても劇画の原作者として海外の作家などにも大きな影響を与え、今日の日本漫画の世界的な人気の先駆けとなったことが大きな業績と言えるでしょう。

作品の特徴

『御用牙』は、作画家の神田たけ志とのコンビによるアクション時代劇画です。1970年に少年画報社の青年コミック誌「ヤングコミック」で連載が始まりました。主人公は北町奉行所の同心、板見半蔵。武士でありながら庶民のために大義を貫く半蔵の燃えるような反骨心が人気を呼びました。

単なる時代劇とは一線を画し、ダークヒーロー的な趣があります。半蔵は完全無敵の存在ではなく、立ち回りで負けることもあります。悪人を斬って退治するのではなく、相手の弱みを握り、奉行所の上役や権力者をも出し抜いて己の正義を証明していく。その痛快さと、劇画らしい過激な描写が、この作品を唯一無二のものにしています。

劇画『御用牙』第一巻の表紙

映画化

『御用牙』は、1972年から1974年にかけて勝新太郎主演で3本の映画が作られました。ふてぶてしく型破りな半蔵の人物像は、勝新太郎の存在感とよく合い、今も時代劇ファンの間で語られる作品です。映像化された小池作品全体については小池一夫作品の映画・ドラマ化とその比較の記事で紹介しています。

映画『御用牙』のパッケージ

原作には性的な描写や暴力的な場面も多く含まれるため、読む際はその点を知っておくとよいでしょう。小池作品のほかの代表作は小池一夫の代表作の記事にまとめています。